その4) 初めてのキャンプ
本格的なキャンプを初めて体験したのは
小6の時だったろうか。
某団体に俺は所属しており
このときの俺は初級であった。
その技能と年齢により
昇級し 2級(中1) 1級(中2) 菊(中3) となって行く。
我が班は 初級3名 2級3名 1級1名であった。
その1級1名が我が班の班長であったのだが
高校受験のため 塾通いであり
なかなか活動に顔を出すことはなかった。
そして 初めてのキャンプは 2級3名と
我々初級3名で行われた。
はっきり言ってまったく経験がないため
何をしていいのか さっぱりであった。
初級の仕事なんてたかが知れていて
主な仕事は 薪拾いと水汲み である。
しかし 誰に教わったわけでもなく
薪拾いも ろくに拾えない有様であった。
生木と良く乾いた枯れ枝の区別もあまり分かっていなかった。
そして どの木が良く燃えるのかもわからなかった。
水汲みも 20リットルのポリタンクを2つ
班で所持していた。
残念ながら このポリタンク
蓋がない!!
当時 小6の俺には重くて
山の斜面を転んで
こぼしながら運んだものだ。
キャンプサイトに着くと
水は半分近くになっているため
汲みなおし!!
と 先輩に怒鳴られるありさまであった。
そしてこの時 我が班の2級の技能もやたらと
低かった。
3時に集合し 設営は始まったのに
テントを立てられたのは
夜 7〜8時過ぎだったと思う。
それから 火をたいて晩飯をつくるのだが
うちの2級は火を起こせなかった。
誰もが蚊にさされ 火の点かないことに
腹を立て イライラする険悪なムードであった。
ろくに薪の拾えなかった俺達は
薪が少ねぇよ!!
と 先輩達にその薪でぶっ叩かれることとなる。
そして ボロボロになった夜12時過ぎ
やっと晩飯である焼肉ができ
俺は食当(食事当番)として
リーダーサイトを訪れることとなる。
リーダーに試食をしてもらい
火が通っていることを確認してもらい
自分のサイトに帰ることで初めて
食事にありつけるのである。
しかし リーダー達 とっくに消灯していた・・。
俺はドアをノックし 彼らを起こした。
眠気眼で指導者の一名が起きてきた。
「てめぇ 今何時だと思ってやがんだ!!」
はい すいません・・。
とりあえず 試食をお願いして
火の通っていることを確認してもらった。
そしてヘトヘトの俺は自分のテントサイトへ
戻ろうとしたのだが
指導者は大変ご立腹であり
近くの教会まで 俺だけ
マラソンさせられるハメになった・・・。(泣
それからサイトに戻ったのだが
「てめぇ おせぇんだよ!!
トロトロ歩いて行ってんじゃねぇよ!!
常に走れ!!馬鹿野郎!!」
と 先輩達が今度は大変ご立腹。
何発か挨拶を入れられるハメとなる・・・。
こうしてヘトヘトのなか
なにも食う気が起こらず
1時過ぎ 食事のかたずけをして
消灯となった。
朝5時ごろ なにか冷たいものを感じ
目を覚ます。
誰もが悲鳴をあげて 目を覚ました。
外はものすごい雨であり
昨日 テント周りに溝を掘っておかなかったため
テント内に雨水が浸入し
どこもかしこも 水溜りになっていた。(号泣
先輩達に
「なんで てめぇら 側溝掘ってねぇんだよ!!」
と 朝から寝覚めの一発をもらうこととなる。
結局 他班より 遅く寝たにも関わらず
一番に起床。
朝食作りを早めに行うことになった。
昨日の前例があるため
火が点くのか心配であった。
青い ブルーシートを天井の変りに張って
その下で火を起こす。
なんと その日はすぐに火が点いた。
先輩達もご機嫌であった。
しかし 長くは続かなかった・・・。
ジュワ〜〜〜〜・・
激しい煙と蒸気があがり
火は消えた・・。
そのフライシートの周りにも
側溝を掘っていないため
堀かまどでは やがて水が流れ込み
消えてしまうのは 当たり前であったのだが
我が班の技能の低さゆえ 誰も気付かずに火を炊いていたのだ。
結局 朝10時まで 濡れた薪に悪戦苦闘し
朝食のアジを焼くハメになる。
それが焼きあがる前 朝食として
昨晩の焼肉を皆で食べた。
雨でずぶ濡れの中 冷え切った食事を食べるのは
きついものがあった。
他班が時間通りにスケジュールをこなしていく中
とにかく みじめであった。
この後も キャンプがあったのだが
2級の技能はそれほどあがらず
火が点かないことが多かった。
そのときは 晩飯がスパゲッティだったのだが
火がつかないので 次の日の朝食用の食パンを
皆でかじった。
リーダーが食事をとったのか?
と 見回りに来た際
皆で声を揃えて
はい うまかったっす!!
と 先輩の指示通り答えたのであった・・。(泣
しかも この日は 火がつかず
悪戦苦闘していた時 中々顔を出さない班長がきたのである。
班員全員で大喜びであった。
なにしろ
班長=確実に火つけられる人
だったからだ。
しかし 班長は
「俺 ドラゴンボール見ながら
カレー食ってきたから 寝るわ」
え??
そう言い放つと班長は
テントに入って寝てしまった・・・。
俺は小6ながら この技能の低さにうちのめされ
このままでは生き残れないと判断し
2級進級後 自主的に毎週キャンプを行い
全て一人でこなせるように
そのスキルを飛躍させていくこととなる。
その結果 2級時 1級時
ともに 最優秀班賞獲得となる。
全てはこのキャンプのおかげである。
初のキャンプの際
同じ初級のうちの1名は喘息持ちのため
体調を崩し 母親が迎えにきて
朝方帰った。
残された初級2名は それを羨ましく思ったのは
言うまでもない。
この後 残されたもう一人の初級も悔しい思いをしたのであろう
料理の腕はTOPクラスに成長する。
そして帰った彼。
このキャンプが応えたのであろう
彼は2度とキャンプにはあらわれず
その活動を辞めた。
正直 精神的にも肉体的にも
小6の我々には きつかった。
誰もがボロボロになっていた。
自宅に帰ると 水道が蛇口をひねれば出る
火も簡単に点く生活に
とにかく 驚いたことを覚えている。
華を咲かそう