その6) 初めての海釣り
あれは18歳か19歳のときだろうか
伊豆の知り合いを頼って 漁船に乗り込み
海釣りをすることになった。
前日はワクワクで
海の漢になる日がきたぜ!
と 興奮して 随分酒を飲んで 朝を迎えた。
早朝先輩の車で出発。
現地入りしたが ハプニング発生。
一般の漁船=一般の釣り人も乗るわけであり
お祭り(他人の竿の釣り糸と自糸が絡み合うこと)
を危惧して
素人の乗船は拒否されてしまったのだ。
皆がっかりしているところに 一名漁師がやってきて
貸切にしてやってもいいよと 声をかけてくれた。
うちらはすぐに合意し 漁船に乗り込んだ。
ターゲットはアジ。
竿もレンタルで 仕掛けはプラカゴとさびきで
深度計まで ついていた。
漁師がポイントまで連れて行ってくれて
そこに垂らすだけで ほぼ入れ食い状態であった。
しかし アジは全然釣れず ソウダカツオという カツオの一種が
よく釣れた。
このソウダガツオという魚 かかると 左右に大きく泳ぎ回る。
そのため お互いに船の外へ向かって釣りをしている両者の釣り糸が
船底でお祭りするというハプニングが何回かあった。
俺も数匹連れてご機嫌であったが
釣った魚はピチピチ暴れるので
さびきが絡みついてしまい
それを ヤレヤレと思って取ろうとしたら
さびきが俺の手に絡みついてしまった・・。
返しがついていたので
針を抜くってよりは 肉を剥ぐって感じで
手の肉がちぎれ飛んでいた。(泣
釣りも後半に差し掛かり
皆が楽しく釣りをしている中
明らかに異常な状態になっている者が一名いた。
それは まぎれもなく 俺でした。(泣
昨日一人で浮かれて飲んでいたのと
不眠であったがために
今頃になって あっけなく船酔い・・。
船酔いはなぁ 海に入るか
陸にあがらないと 治らないなぁ〜と
漁師さんが どうでもいい適当な口調で
親切にボソッと教えてくれた。
そして 皆が楽しく釣りをしている中
一人船尾でゲロを吐きまくる男の姿がそこにはあった。
ゲロに小魚が寄ってきていて
網で掬ったら 取れそうだった。
そんな時折 なんかデカイ魚が水面まであがってきた。
1mくらいの シイラであった。
我々の釣っている魚を追いかけてきて 水面にまで
あがってきたらしい。
漁師が我々の釣った魚にデカイ釣り針をグリっと差込み
海に投げ込んだ。
竿もくそもなく ただのロープであった。
おら 坊主ども 俺がシイラ釣ってやっから
見とけよ!!
そう言い放った漁師はまさしく海の男であり
俺もゲロまみれになりつつ カッコイイと思った。
しかし 残念ながら シイラは釣れませんでした。
漁師は無言でした・・。
釣れる日もあれば 釣れない日もあるさ・・と
きっと背中で語っていたんだなと 思いました。
結局7〜8人で行って トータルで百数十匹釣れてしまいました。
アジ狙いだったのに アジはゼロ・・・。
ほとんどが ソウダガツオでした。
下船際に漁師が一言。
お前ら その魚 一匹も海に捨てて
帰るんじゃねぇぞ!!
船着場では 漁師達が昼間っから宴会をしていた。
おい 坊主達も飲め!!と言われて
めったに食えないタチウオの刺身など ご馳走してくれた。
船酔いでゲロをさっきまで吐いていた男も勿論 食べました。
うまいのなんのって 食いまくり!!
その食いっぷりのせいか
数名の漁師が話しかけてきた。
おお 坊主 魚好きか?
釣り好きか?
どうだ うちに婿にこねぇか?
毎日釣りできんぞ??
えぇ〜・・・ 丁重にお断りいたしました。
午後は知り合いのクルーザーに乗って 沖へ遊びに行きました。
綺麗で透き通った海があって 海底がよく見えた。
そこにクルーザーを止めて 泳ぐことになった。
クルーザーは1000万もするそうだ。
知り合いは そろそろ買い換えるかな
と いとも簡単に呟いていた・・。
泳ぐことになったのはいいが 水着は持ってきていない。
まぁ せっかくきたんだしっと
トランクスで泳ぎ回った。
しかし 着替えもくそもない。
トランクスを脱いで ズボンを履き
クルーザーの全部に行って
手すりにトランクスをくくり付けて 乾かすことにした。
野郎 数名のトランクスが
まるで 大漁の旗のように
クルーザーの前部でなびいていた。
女性が一名いようものなら
ムードもくそもないわね〜と
嘆いていたことであろう。
まぁ いたらいたで そんなことを言おうものなら
海へ突き落として
下着スケスケの刑にしていたであろう。
実際クルーザーに乗っているとき受ける潮風は
とても 心地よかった。
夜は知り合いの持っているマンションの一室に泊まり
釣った魚を皆で料理して食った。
メインは鍋で 俺はビールをガバガバ飲みつつ
おいしく鍋をつついた。
うまかったっす。
次の日は途中 芦ノ湖へ寄ったり
箱根の関所跡を観光しつつ
家路へと向かった。
しかし これで終わりではなかったのである。
帰宅してまもなく ほどよく全身が痒い・・。
なんか体中が痒く プクッと膨れ上がっているのが
触った感触でわかる。
眠っていたのだが いやーな予感がして
鏡を見に起きてみる。
ぉぃ・・・・
嫌ぁあああぁあああああ!!
そこには顔がパンパンに膨れ上がり
もはや原型を留めていない男の顔があった。
唇は長さんであり
ほっぺたは宍戸錠であり
眉毛は郷ひろみで
まぶたは腫れ上がって垂れ下がり
ボクサー顔になっていた。
おいおい 八王子の美周郎の顔はどこへ・・・。
そして 床へ戻ったわけなんだが
あいかわらず いいテンポで全身が痒い・・。
ちんこの先から
肛門
頭皮も
手の平や足の裏も痒い。
アリエナーイ アリエナイデスヨ〜〜。
次の日 お医者へ行くと
蕁麻疹でした・・。
初めてなったよ・・恐ろしい 恐ろしいな蕁麻疹・・。
海釣りで食った魚が原因なのかもしれないが
結局原因不明であった。
処方箋をもらい服用していると
すぐ痒みは止まり治った。
海釣り それは漢の浪漫。
また機会があったら やってみたいと思ってます。
次週 Weif世界を釣る の巻
華を咲かそう