その3) 友に捧ぐ 安らかな眠りを・・
俺はまだ それほど生きていないが
過去 3人の
親友と呼べるダチを亡くしている。
実際 それらを知ったときは
胸に刺すような痛みが走り
信じられない気持ちで一杯になる。
頼むから嘘だと言ってくれ!!
遺体を見たくもないし
葬式にもいきたくない。
しかし 人間 悲しみを乗り越えなければならない。
仕方なく 参列し
友の死を目の当たりにし 胸に刻み付ける。
その亡骸と対面したときほど ショックを受けることはない。
目を背けたくなる。
そして どうしようもない怒りと憤り。
溢れ出る涙と共に 拳を握り締め
なんでだ!!
なんで 昨日まで笑ってた奴が
突然 冷たくなって
こんな箱に入れられなければならないんだ!!
なんで こんないい奴が死ななければならないんだ!!
もっと死んでいい奴 他にいるだろよ!!
立てよ 立てよ!
お前 そんなもんかよ・・・
俺はお前と一緒に もっと色々やりたいんだ!!
なぁ 頼むよ・・ なぁ・・
俺はまだまだ ガキだった
結局 それらは夢だったと信じ続け
墓参りには 一度も行っていない。
そいつらとの思い出深い場所に 華を供えるだけ・・
もう 帰ってこないとわかりつつも
突然 「よぉ!!」って あいつらが
帰ってくるのを 待っていたからだ。
最近やっとである 彼らの死に報いよう
彼らの分もがんばろうなどと
思うようになったのは。
そして 彼らはしっかり生きていることにも気付いた。
俺の思い出の中では彼らはいつまでも
元気な笑顔で走り回っている。
この世に永遠で不変のものなんてない。
時と共に全てのものはその形を変えていく。
でも友と過ごした あの日々は
あの一瞬は永遠だと信じたい。
最初の友の死は 小4。
クラスメイトだった。
席替えは 大抵 くじか
仲良しグループで 決められていた。
彼は俺の真後ろの席だった。
授業中 突然 彼は言った。
「ねぇ Weif 俺 黒板が見えないよ。」
「は?お前 何言ってんだ?」
俺は 俺の体の部位が邪魔で
黒板の字が見えないんだと思って 身をよけた。
「はいよ これで見えるべ?」
「違うんだよ Weif。 見えないんだ・・」
実際 彼はこの次の日 入院となった。
目の手術だと 聞いていた。
しかし 全然教室へ帰ってこなかった。
彼の家に 何度行っても 帰ってきている気配はない。
だいじょうぶかな??
実際 彼は 気の弱い男に一見 見えるが
誰よりも優しい男だった。
俺は無差別に 興味本位で よく小動物を殺した。
しかし 彼は絶対 そういうことをしなかった。
無理に引き止めるまではしなかったが
そんなときは やめようよ〜〜って必ず 言っていた。
俺はそんな言葉に構わず 悪さしていたわけなんだが
そんなわけで 彼に一言 謝りたかった。
そして 長い入院からしばらくして
彼は学校へ帰ってくることになった。
俺は大喜びだった。
しかし その姿に 俺は声をかけられなかったんだ・・。
なにしろ 初めての経験で どう声かけていいか わからなかったんだ。
痩せ細り 頭の毛は抜け落ちてしまって
かつての彼の面影とは 大きく異なっていた。
彼が無理して 元気だよと 皆にアピールするための つくり笑顔は
今も俺の目蓋に鮮明に焼き付いている。
給食も食べられないらしかった。
俺はそのとき やっと 声をかけることができた。
「食べろよ 食べないと よくならないぞ」
「Weif ごめん 食べれないんだ・・」
「・・・・・・」
そして 彼はお父さんが迎えにきて 早退した。
それから しばらくして 彼の死を耳にした・・・。
彼は白血病だったのだ・・・・。
先生は俺たちにわかりやすく 血液のガンだと教えてくれた。
クラスメイト達と 泣いた・・・。
結局 彼はそれと 一人で闘い続けていたのだ・・。
俺は何もしてやれなかった・・。
葬式のときも 彼の遺体を前にしたときも
俺の心の中には ごめんなさいしか 浮かばなかった。
すまなかった 君を一人にして・・
許してくれ・・・
俺のせいで彼は死んだような気にすらなった。
俺は彼の言葉を 肝に銘じ
約束した。
面白半分で生き物を殺すようなことは もう絶対しないと。
そして 次の友の死は
18のときだった。
彼は歳が一つ上で
俺の家のすぐ裏に住んでいたので
一緒に遊び 色々なことを教わった。
頭はいいし 運動神経もいい
そして なによりもそれらを自慢したり
鼻にかけるようなことは絶対しない人だった。
それに対し 俺は 頭は悪いし 運動神経はない。
とにかく グズでノロマで常に他人の足を引っ張る。
それで 彼に魅力を感じていたのかもしれない。
そして何より 彼はイタズラの天才であった。
バナナにうさぎの糞を詰めて 友達に食わせたりしていた。
俺は 横で見ていたのだが
彼は
「これはねぇ タネありバナナなんだよ」
と 友人に言っていた。
俺はひどいなぁと思ったが
彼曰く
「種とは言ってないよ
タネは仕込まれてるけどね。(フフフ」
なるほど・・ 頭いいなぁ
食う方はそれ聞いて食ってんだもんね・・。
食ってるほうも 「おお でっかいタネだねぇ」と言って
まるで スイカの種のように プップッ 吐き出していた。
なるほど デカイ種だから 食った人も飲み込まずに吐くよな。
飲んだらお腹壊しちゃいそうだもんなぁ メモメモ・・。
食わせたほうは大喜びで 食ったほうは不思議なバナナを体験できる。
すげぇ 誰もが幸せになれる イタズラだ。
と よく尊敬したものだ。
そして 八王子には数多く防空壕が存在していて
そこへ よく探検しにもいった。
たまに ぶっちぎれることもあったが
それも好きだった。
豪快なドロップキックを 相手のランドセルに決めていた。
ナイス ドロップ!!
相手はガードレールまでふっとんでいた。
なかなか 小学生レベルで 不意打ちとしてドロップキックを
サラっと決められる奴なんて よっぽど運動神経よくないと
実際 無理だった。
たまにクレイジーな遊びもしていて
友人と鎌でキャッチボールしていて
彼は手をあっさり切り
何針か縫ったのを俺は覚えている。
小学校 中学校と同じ学校へ通ったが
高校は別であった。
彼は 某進学私立校へ
俺は ブルーカラーにまみれた馬鹿公立校へ。
ここで 交友関係は途絶えたのだが
俺は彼と過ごした日々を忘れなかった。
そんなこんなで 高校3年の冬
まさか 彼の死を聞くハメになろうとは・・・
センター試験 4日前だった。
ちなみに俺は受験組じゃないので センターなんぞ まったく関係なかった。
彼は浪人生で 庭のプレハブで追い込みしていた。
彼の両親が 様子を見に行ったところ
彼はすでに 息を引き取っていたそうだ。
死因は 石油ストーブの空焚きによる
一酸化中毒であった。
ショックだった。
彼との思い出が 走馬灯のように
次々 俺の頭に流れ込んできた。
彼が俺に教えてくれたことも
様々 浮かんできた。
間違いなく 小学校時の彼は俺にとって
ヒーローであり
イタズラの師でもあった。
泣いた。
俺は彼に教わった イタズラに対する熱い精神
頭がキレる クールな男の生き様を忘れない。
そして この年はもう一人 友を失うこととなる。
彼は都内に住んでいて
あるきっかけで出会ったのだが
妻子持ちで その前年に籍を入れたばっかり。
なにしろ バイクが好きで
よく 色々 見せてもらったりした。
熱っぽく バイクについて熱く語る彼が好きだった。
彼に勧められて 本田宗一郎の本など 読んだものだ。
彼は どっちかっつうと 合理主義者というよりは
職人気質で頑固で情熱家であった。
とことん こだわる男であった。
なにもかも 妥協して中途半端に生きてきた俺は
彼から学ぶことが沢山あった。
そして 近々 一緒にバイクで日本一周しようぜと約束していた。
ただし 彼は家庭を持ったばっかりだし
俺は 浪費家ビンボー ボンバ イェ〜だったわけで
いつかしようぜという話でいつも終わってしまっていた。
よく どこどこはツーリング行くと熱いぜぇなんて 彼は口にしていて
俺は いつか彼とバイクでそこを旅する日を夢見ていた。
そして その年の夏
彼は奥多摩へバイクを走らせ
帰らぬ人となった・・・。
幼い子供と 若すぎる妻を残して・・。
まだ 交友関係はそれほど 長くはなかったんだが
深かった。
なんせ 俺はまだ高校生で
所帯もってがんばる男の生き様なんて知らなかったし
彼はとにかく大人の考えで物を述べていた。
そんなダチはまだ 俺の周りにも少なかった。
彼と同じように 所帯もってるダチもいたが
まだまだ 落ち着いているといった感じではなく
考え方も甘すぎるし 遊びたりねぇよってツラをいつもしていて
子供だった。
俺は彼のことをもっと知りたかったし
これからも付き合っていきたかったのだが
俺との約束はいつ果たしてくれるんだよ!!
冷たい体になっちまってよぉ!!
俺は 必ず
彼の追悼のため 日本一周をしなければ いけない
と思っている。
今日もあの世で 彼らは
まったく成長のない俺を見下ろして
笑っていることだろう。(笑
まぁ 見とけや! そのうち・・(以下略
こんな負け犬のセリフ言おうとしたこと自体 成長ないね・・(反省・・
華を咲かそう