その6) 飛び降り
高校の下校時。
あの日は近くの川が台風で増水していた。
バスケ部の連れと
学校付近の川にかかる橋を渡ろうとしたそのとき
なんか 靴を揃えて脱いで
欄干の外に出ている おっさんがいた。
なんだありゃ??
飛び降り??
しかし
なんてわかりやすい飛び降りなんだ!!
俺たちはあわてて 駆け寄り
おっさんを 欄干の内側へ引き戻した。
なんで 飛び降りする人は 靴脱いで揃えるんだ??
そんな疑問を持ちつつ
俺たちは おっさんをカツアゲするわけでもないのに
正座させて 説教した。
なんでも 借金苦で自殺しようと したらしい。
もっと 人目のないところ 選べや!!
と 誰もが思った。
そんなわけで俺達は人一人の命を救ったわけで
帰りは 明日くるであろう
朝のワイドショーのインタビューに備えるべく
色々と友人と討論しあった。
明日は ちゃんと制服もネクタイしてこなきゃな
なんて誰もが思い
話題は誰がインタビューにくるかということになった。
俺達の希望的には やっぱ
東海林さんか
梨本さんがいいべっつう話になったのだが
そこで 誰がインタビューを受けるっつう話になった際
揉めた。
俺の一言であのおっさんは立ち直ったんだから
俺だろと みんな一歩も引かない。
結局 そのうちの一人が
「んなもんこねぇよ」 と現実を
突きつけたがために 誰も喋らなくなった・・・。
もうちょっと 夢みさせろや!!
そんなわけで いまだにインタビューはこない・・。
つか おっさんは生きてるのだろうか??・・
華を咲かそう