その2) 幽霊



我が町 我が故郷 八王子には
心霊スポットが数多く点在する。

八王子霊園
八王子城址
誠の道
首なし地蔵
小峰峠




稲川淳二の話にも出てくる 有名どころだ。



俺も夏になると そこらの場所へよく行ったもんだ。




まず 八王子霊園。






ここでは 色々な目撃情報があり
まず 電話BOXに出ると言う話であった。

それは女の霊だという話で統一されており
若い女性だとも 赤ん坊を抱いた女性だとも噂があった。


この霊園はそれなりに大きく
墓石がズラッと並んでいる様は 夜行くと
不気味であった。







友人達がここで肝試しをやったらしい。(この時俺は不参加だった。)



その肝試しとは
ズラッと並ぶ墓石の間を直線で歩いていき

いけるところまで行ったら ライターに火をつけ
ここまで 行ったぞと スタート地点にいる仲間に合図するものであった。

場所は霊園内にある古いお墓が立ち並ぶ場所。

多分 身分の高い人達の古い墓なのであろう。




何人かがライターをつけて 戻ってくる。
そんなことを繰り返し
続いて 他の奴の番になった。




そいつが奥へ行き ライターに火を灯す。

スタート地点にいた奴らは声を失ったそうだ。














彼の横に 着物姿の女が立っていたのだから。







この後 彼らはすぐ引き上げたそうである。
本人にはなにも告げずに。


しかし 本人に何か見えたか?
とは訊ねたそうだが 何もいなかったと答えたそうである。



しかし この後 本人は霊を持ち帰ってしまい
その女性の霊に枕元に立たれ お払いしたそうである。











続いて 八王子城址。






ここは 元々 北条の城があり
豊臣の軍勢が攻めてきた際
女子供もろとも惨殺された場所であり
血に染まらなかった場所はないと伝えられている。




落ち武者達の怨念が今も彷徨っているという。
そんなわけで 俺らは肝試しをした。




霊感の強い奴は そこに何人いるとか
抜かしており 霊感の強い女の子は早くも泣き出す始末。



まったく シックスセンスのない人1名(俺)は
何が起こってるのかさっぱり・・・。




霊も人を選ぶんだとダチに言われ
なんか納得いかねぇなぁと思いつつ
スタート地点に到着。

全然知らないグループとここで遭遇し
一緒に回ろうよと言う話になった。


ここには 道がついており
グルッと一周できるのだが

なんだか知らんが
俺はいつも先頭か殿(しんがり)を歩くことになっていた。
霊感ゼロなうえに 霊に相手にされない男だからだという
わけのわからん理由で・・・。



そして 今回は先頭になった。
途中で後続していた 知らないグループが
ついてこなくなった。


少し待ったが来ないので
先に進むことになった。


途中 橋がかかっているのだが

その橋の下に ものすごい数がいて
すごい形相でこちらを睨んでいるので
絶対に橋の下は見てはいけないと ダチが言う。




俺は見てみたが なにも見えない・・。
こいつら 何言ってんだ? 頭だいじょぶか?
と思いつつ 一周が終わった。


一緒に行くはずだった もう一個のグループは
やっぱり戻っていたらしく

スタート地点にいた。


盛んに何もなかったか?と聞いてくる。
俺は何もないよと伝えたのだが
ひどく 怯えていて
そっちはなんかあったの?と聞いたら


ぼそっと言った。











一人多かった・・・・








彼ら曰く 俺らのグループが途中から一人多かったんだそうだ。
それで慌てて スタート地点へ引き返したらしい。

俺は死者の霊を冒涜するつもりはないが
いっつも何も見えないので さっぱりであった。





誠の道。







ここには 沢山の水子地蔵があり
真ん中にデカイ子供を抱いた観音像がある。



ここは霊が出るという噂よりも
そこを管理している坊主に捕まると拉致されると言う噂があった。


俺らは早速 その噂を確かめるために調査に向かった。
入り口の門は閉まっており
門を乗り越えた。

門内には人が来るとライトがつくセンサーがあったらしく
あっけなく全員ライトにさらされるハメになり
皆 暗がりへと逃走し あっけなく散り散りになってしまった。

俺が隠れたのは 円柱のつくりの塔。
のちに知ったのだがそこは水子の納骨堂であった。

そんなことは知らず ライトが再び消えるのを待った。

ライトが消えたので 近くにある斜面を駆け下りた。

途中 なにかが足にゴンゴンゴツゴツあたる。
いてて いってぇよ いって いてて と思いながら駆け下りた。

ふもとで友人の一人と合流。

懐中電灯照らしてくれと 俺は頼んだ。



ゴツゴツあたっていたそれは
















数え切れないほど 沢山の水子地蔵であった・・







ぬぅおお 足でボコボコ蹴っちまったよ!!

俺は大変お騒がせ致しましたと観音像に一礼し 誠の道を後にした。









続いて首なし地蔵。






ここには昔 神社があり おばぁさんが管理していたのだが
その おばぁさんが何者かに惨殺されたそうだ。


そして その側に並ぶ地蔵。

首がない地蔵が一体あり
あの地蔵が首から下げる赤いヒラヒラの色が染みたのか

まるで首を落とされて出血したかように見える。




稲川淳二の話では 若いスタッフが面白半分でそれに触り

触った後日 友人から電話があり 呼び出され

バイクで出かけたのだが 事故ったという。



その後 その呼び出した友人に尋ねたところ











そんな電話は一切してないそうだ。




俺は結局 首なし地蔵へは 一度もいっていないし
行く前に撤去されてしまったのだが
友人曰く 地蔵あるなし関係なく
おっとろしい所だったそうだ。

先輩が一人そこで 恐怖体験をしたらしく
話を伺ったところ

行ったものの何も起こらずに車に乗って帰ることになったそうだ。


しかし バックミラーになにか真っ白に光る
発光体が映り 皆でなんじゃこりゃと思い

振り返ったそうな。

そうするとそれは徐々にこちらに近づいてきたそうである。

恐くなり スピードをあげると

その発光体はぐるっと回り出し
横向きになったそれは













蛍光灯であった・・・








空飛ぶ蛍光灯 もっとましな作り話しろよと思って話の続きを聞いた。



その日は雨だったのだが 出口付近に誰かが真っ暗な中
傘もささずに立っていて

フードを深々とかぶっており
顔を一瞬見たんだそうだが








青白い顔で 目は白目をむいて
こちらをにらんでいたそうだ。








たんに犬の散歩かなんかしてた おっさんじゃねぇのかよ!!と
思ったんだが あまりにも先輩がマジな顔で話すので

そんな恐ろしいことがあったんですかと 頷くしかなかった。







続いて 小峰峠。






ご存知 ここは幼女連続誘拐惨殺事件によって
惨殺された少女が埋められた場所である。
峠付近にトンネルがあり その上に埋められたのだが
ここを通る人達が よく少女の霊を目撃していた。




俺もトンネルの上にあがってみたのだが 何もなかった。





そのほかにも 色々な心霊スポットを訪れた。

廃墟になった病院なども行った。
手術室は半開きになっており 手術台が見えた。

その上に 誰かが横になっているらしく 足が見えた。


ぬぉおおお 俺もついに幽霊なるものを見たぞ!!

感動と恐怖で叫んだ。

すると 中から

うるせぇよという声が・・












単なる浮浪者が寝ていただけであった・・・







こいつらには 恐いもんねぇのかよ!!
と驚いたものです。


廃屋の洋館に行ったときも
霊感のある奴が 2階の窓に女がいるよと言って指さした。

いつものごとく 俺には何も見えない・・。
いつも俺と同じで見えない 馬鹿がいたので

「おい 何も見えないよなぁ」

いつものようにそいつに同意を促す。

しかし 彼は終始無言であった。





そして帰りの車でやっと喋った。

本人曰く 指さされた方向を見たところ

なんか人が立っているのが見えて
うぉ なんだ?と思ったところ












彼の顔面の前にブワッと
女性の霊の顔が迫ってきたんだそうだ。










なんだよ ちきしょ〜〜 見えないの俺だけかよ・・。
いつも通り 俺だけ仲間はずれだよ・・。

そして いつも通り友達に訊ねる。

なんで俺は見えないんだよ!!

そして彼はいつものごとく

霊も人を選ぶのさ!!

納得いかねぇ〜〜〜〜といつも通り心霊スポット巡りは終わった。











てか 皆さん 集団で俺を騙しているなら
そろそろ凡ちゃん雇って
ドッキリだと言ってください・・・。





華を咲かそう