その3) 恐怖の日本人形




それは 中学3年の夏であった。
俺は某団体で上級班長を務めることとなり
キャンプに参加することになっていた。

場所は長野県で八ヶ岳の麓のキャンプ場であった。



俺はその頃 サッカー部に所属していて
都大会出場により 勝ち続ければそのキャンプには
参加できないことになっていたのだが

延長戦の末 3−3でPKで敗れ

遅れてそのキャンプへ 参加することとなった。



一人夜行列車で皆を追いかけた。

途中 トイレにガムを吐きに行ったら

おっさんが ウンコしていて

「ダ、ダ、ダメダメダメダメ」

などと 言っていたので
親切に開けっ放しにして 席に戻った。

「ち、ちきしょぉ このガキ・・・」

とか 鍵の壊れたトイレのドアを見つめながら
涙ぐんで言っていた。






朝方 キャンプ場の最寄の駅へ到着
駅のベンチで野宿。



日が昇ったので 皆と合流し
寝不足なのにそのまま ハイキングに合流し
何度か居眠りで崖下に落ちそうになったものの
なんとか 無事 帰還。






そして その夜 事件について聞かされた。






俺はまだ何も知らされてはいなかったのだが
夕暮れになり
皆 懐中電灯を取りに テントサイトへ戻る。

俺たちは上級班長で 一つのテントを持っていた。

でも 誰もテントを開けたがらない。

「どしたん?」

「いや いいから Weif 開けてくれ・・。」

????????



俺は構わず 開けた。






何かに皆 怯えているようだったので 問い詰めた。



そしたら 昨晩 ある後輩が自分の班のテントを開けたところ

まっくらであるはずの テント内は 薄緑色に明るくなっており


テントの奥から













日本人形がゆっくりと 歩いてきた。






彼はしばらく 放心状態で
何が起こったのかも口にすることができなかったのだという。


 
その後も これをきっかけに日本人形を目撃するものが続出。


テントによっかかっているのを見た者。

高い木の枝に腰掛けているのを見た者。

空を飛んでいるのを見た者。





俺は集団幻覚もここまで行くと あぶねぇなぁと思っていた。







そして その日の夜。

キャンプファイアーが行われた。
そこで一名が突然意識を失い卒倒。

目を覚ました 本人曰く










女性の声が
ずっと耳元で何かを囁いていたそうだ。









おいおい 気持ち悪いなぁと 誰もが思い
その日は就寝。







そして 迎えた翌朝。







一人 鼻血を大量に流し
Tシャツが真っ赤に染まっているものがいた。



なにがあったのか訊ねてみると

昨晩 眠っていると 何か冷たいものが
彼の鼻をずっと撫でていたそうである。

気持ち悪いので それを握ったところ
それは グニャグニャであり

慌てて目を開けると










日本人形が彼の顔を覗き込んでいた。









彼はそのまま失神し 目覚めると鼻血まみれであった。


作り話もいい加減にしろよ こいつらと思い

目撃情報のあった場所を色々見て回ったのだが
結局 痕跡すら発見できなかった。






結局 日本人形は我々に何を伝えたかったのであろうか?

いまだに 謎に包まれたままである。







華を咲かそう