その6) 電話
俺は電話が嫌いです。
用件言ったらすぐ切るほうだし
携帯電話も嫌いで持ったことは過去に一度もありません。
友人から電話がきて くだらない長電話になっても
内容に刺激がない場合は
集中力も続かず すぐ 生返事になります。
あと 携帯からかかってくる 声の遠い電話が大嫌いです。
そんなときは 大抵 切るのですが
頭の弱い 友人に限って
「やべ 電波切れた」
と言って かけ直してきます。
そんなわけで 誰もが俺と連絡取るのに 苦労していたわけで
バイト先や友人から買ってやるから持てと言われたことが多々あるのですが
結論から言わせてもらうと
まず 鳴るとうるさいので 常に電源オフ だと 思われ
持っても意味ないなってこと になりました。
最近 女子高生などで 携帯電話依存症 などがいますが
俺にはそんなもん信じられないわけです。
ですから 電話というと 自宅の電話が鳴るわけです。
取るのが かったるい時は もう出ません。
しかし この情報社会 個人情報は漏れ漏れらしく
様々なところから 電話がかかってきます。
はっきり言ってそれは 恐怖です。
全ての自分の個人情報がどこかしらか 漏れている・・。
と 言っても毎日 安眠している俺ですが(照
かかってきて びっくりした電話も多々あります。
18歳の頃だったろうか
進路もろくに決まらず プラプラしていて
自宅でTVを見ていると 電話が鳴った。
おかんが電話に出て 俺にだと 言う。
誰だ 人がゆっくりTV見てるのに 電話してくるバカは!!
仕方なしに電話の受話器を取る。
「はい もし〜 どなたでしょうか?」
え?
なんで こんなとこから電話が?・・・
それは自衛隊からの
電話であった・・・。
「戦車やヘリコプターを整備してみませんか?」
「なんですか それ・・・」
チーン
興味のなかった俺は 即行 受話器を置いた。
二十歳になったあたりだろうか。
毎日毎日 晩になると勧誘の電話が激しく鳴った。
大抵はクレジット会社や保険会社だったような気がする。
二十歳になれば 親の承諾なしで はんこも押せるしサインもできる。
どっかの無知な馬鹿を探す勧誘電話だったのだろう。
最初は おお なんだろう?何の勧誘だ?
と 思って色々こちらから質問するなどして
話を聞いていたのだが
飽きっぽい俺は 案の定すぐ飽きて
途中からは色々実験することを楽しんでいた。
受話器をその場にすっぽいておいてみたり
返事は「あぁ」と言う生返事だけで どこまで通じるものだろうか
と 実験してみたりした。
いきなり 興味なしと言って切ってしまうのは
人間ができてる俺としては 大変失礼だと思ったからだ。
相手がお姉さんだと 調子に乗って
勧誘の話を どこまでそらせるかを楽しんでいた。
お姉さんのプライベート話に持っていければ 俺の勝利。
そして 会う確約をゲットすれば
あっちは 契約取るチャンス
こっちは お姉さんゲットだぜ
と どちらにとっても利益のある 出会いが待っている。
まぁ 契約する気なんて まったくないんだがな・・。
しかし 何度か出向いたのだが
会った瞬間 交通費返せよって感じの方が多かったような気がします・・・。
しかし 「興味ねぇなら さっさと言え このバカ!!」
などと 抜かして電話を切る勧誘員も多く
イタズラに飽きたところで 俺は勧誘の電話が来ても
すぐ丁重にお断りすることにした。
しかし 意味のわからない電話も多々あった。
例えば 宝くじ
なんか俺の変わりに 電話の主は
香港の宝くじを俺の分も親切に買ってくれたと 言うではないか。
そして もし当たれば 3億円 だと言う。
そして これから言う講座に3千円振り込めと 言うのだ。
何言ってんだ?この人と 思いつつも
「んじゃ 俺の分当たったらあなたのもんです。」
と 告げて 受話器を置いた。
あとは パソコン関係の電話が多かった。
HP作成代行などのバイトをしないかという電話もあり
初心者は それを行うために
パソコンと作成講座用ソフトを買わされるわけである。
そして スキルに合わせて 徐々にお仕事を紹介します
などと 抜かしていた。
最初に買わされるPCも その仕事のあがりから返済していけば
ノーリスクだと 言う。
職がなく困り果てていた俺は パソコンのスキルをあげたいと 思ったので
副業のつもりで承諾して 個人情報をFAXで送ってしまったのだが
よく考えれば んなもん PC販売の手口であり
仕事紹介なんて 今仕事ないですと いくらでも断れるわけで
ろくなもんじゃねぇなぁ と
パンフレットを とりあえず 送れと言ったところ
全ては電話で 告知した通りだから 読んでも一緒だと言う。
会社が存在していないんじゃねぇの?
そう思い 話を続けたところ
俺は会社ねぇんだろってことに 突っ込むんだが
相手はこっちの 一度承諾したことに対して
お断りになるとあなたの信頼性に関わりますよ
の 一点張りで話にならない。
また こっちの個人情報を得ていることを
惜しみなく出してくる。
俺に信頼なんてもんはねぇし どうでもいいので 電話を切った。
しかし この相手 しつこく毎晩かけてくる。
あんたじゃ話になんねぇから 上司出せよ
と 言っても私が上司ですと 言って話しにならない。
喋り方は単調で敬語なのだが 絶対に言葉を乱すことはない。
およそ マニュアルが用意されているのだろう。
それにしても この人かなりの熟練者だ。
これじゃ 普通の主婦がひっかかるわけだ。
いままで ふざけて からかっていた程度の勧誘員とは
比較にならない。
俺はついに うんざりして 殺すぞ!!
と バカまるだしで 叫んでしまったわけなんだが
今度は それは恐喝になりますよ
と 法律云々をあげて どうこう言ってくる。
おいおい あんたのが恐喝じゃねぇのか?(笑
そう思ったが 弁の達者じゃない俺はあげあし取られまくりで
話になんなかったので
もう全部 ぶちまけた。
てめぇ 俺にPC売りたいだけだろが!!
俺はバカで一度承諾したけど
もうやんねっつってんだろ
金になんねぇって分かったらあんたも諦めろ!!
ここで ついに相手も重い腰をあげた。
ああ てめぇがバカで承諾したんだろうが
とっとと 諦めて買え!!
俺は声をあげて笑った。
相手の本音がはっきり分かったからだ。
これで俺も ちっとは すっきりした。
まったくもって 感情のこもっていない
機械的な喋りをずっと聞かされていたからだ。
それなら 俺も素直に謝ってみるか
そんな気持ちになったので
「お兄さん 俺は今回勉強になったよ
安請け合いするもんじゃないってね。
俺が安易に引き受けて悪かった 謝ります。
ずっと 無知無教養なもんで罵詈雑言吐いてきましたがね。」
「素直に謝ればいいんだよ。
俺が望んでたのは あんたが謝ることさ。」
と いう展開になり この話は終わった。
なんでも 俺が話途中で電話を切りまくって
怒声ばっかあげることに腹を立てて
しつこく電話してきたらしい。
金にならないことは とっくに分かっていたらしい。(笑
このしつこいほどのガッツが
このうさんくさいPC販売業務に結びついているんだなと
関心した。
好きこそものの上手なれ
とは よく言ったもんだ。
きっと このお兄さん こういう類の勧誘が大好きなんだろうな
と 思った。
すっきりした俺は 仕事がんばってください
と 一言告げて 受話器を置いた。
いまもどこかで 誰かがお兄さんのPCを買わされているかもしれない。
会社は存在しないのに・・・。
しかし この情報社会。
個人情報は漏れ漏れであり
俺が今どこで何をしているのかも
沢山の人間が知っているのかと思うと
ゾッとする。
宗教勧誘 押し売りなどなど
さすがに毎日かわるがわる色々くると うんざりです。
まぁ 訪問よりは 電話のが多いわけなんですが
とりあえず 頼んでもないのに寿司とうなぎの特上が
きたら もう ヤケ食いしちゃいます。
華を咲かそう