その5) 川口浩探検隊



探検。


八王子には 防空壕があり
そして 近所には 下水道があったため
友人達と懐中電灯を持って よく入ったものだ。


皆さんは川口浩探検隊と言う 番組をご存知だろうか?

なんか洞窟を探検するのだが
いっつも出口が同じだったような気がするのだが
それは私の気のせいだろうか?

多分それは気のせいだろう。


俺はその番組が大好きであり
その探検隊に入隊すべく
自主的に友人とトレーニングをしていたのだ。




一応 長靴を履いて 長袖長ズボン。








まずは防空壕。





入り口がせまく 子供一人が
這ってやっと入れる。


俺はモゾモゾしながら 中に進入。

友人から懐中電灯を受け取り
中を試しに照らしてみる。


「おお 壁がなんか真っ黒だねぇ。」


「ほぉん んじゃ 俺も行くよ。」

「いあ 待った。」

なんか 黒い壁面がワサワサ微妙に波打っている・・・。

なんだ これ??

ぬぉ・・






うっわぁぁあああ!!






俺は頭を打ちつけながら 脱出。




なんと波打っていたのは
壁面を埋め尽くしていた
数え切れないほどのコオロギの触覚・・・。



なんて数だ・・・
下手すると喰われる・・
と 戦慄を覚え 這い出してしまった。



中は適度に涼しいため どうやら
コオロギの巣になっているようだった。






そして 下水道。
薄暗く 臭く ここにも何か未知の生物がいても
決しておかしくはなかった。







長靴を一応履いているのだが
懐中電灯で照らすだけじゃ
深さがわからないところが多く
深みにあっけなくハマることが多かった。


少し斜面になっているところがあり
滑りそうだなぁ なんて思っていた矢先に













友人がこけて 先に発射!!(驚




サンダーバード出撃を彷彿させる
その熱い滑りで
うあああ! という悲鳴とともに
彼は 闇に吸い込まれていった。




皆でサンダーバードのテーマソングを口ずさむ中


ドボンッ!!・・・

と デカイ音がして
悲鳴は聞こえなくなった。


死んだのか??

お〜い!

返事がないので もう帰ろうか
と 残った隊員達と話し合う。

結局別ルートを這い上がり 地上に出て
この下水道の出口で待ってようと言う話になり
地上へ出て 出口へ走った。





待つこと数分。











我々はついに
地球外生命体と遭遇することとなった!!









出口からでてきたのは
茶緑のフォルムを持つ謎の生命体。







「ううぁ・・ ううぁ・・
ぶべっ ぶべっ」


などと 謎の言語を口走り
口に藻が入ったのか 元から生えていたのか
口をパクパクさせている。




多分まだ来日したばっかなのであろう
俺の診断では 軽い地球酔いっぽかった。


色的には 一瞬 ガチャピンとムックの愛の結晶かと思いました。



彼は汚物にまみれ 嗚咽していた。

彼だと 認識できた部分は
その黒い農業用スパイクだけであった。




坂を滑った際
斜面に生えていた 藻が彼の体に綺麗に
付着したのであった。


もし あのまま 街中へ出て行ってしまったら

きっと機動隊が出撃してきて
射殺されてしまったかも知れない。
または 円谷プロに引き取ってもらうしか
なかったであろう。



皆で藻を取ってやった。



その後 彼はうちへあがろうとしたので
皆で もう帰ったほうがいいよ
(それであがられたんじゃ たまらん)
と 言って家に帰らせた。


その後 茶緑になった息子を見て
彼のおかんがどんな反応をしたのか
俺は知らない。



俺は熱き探検家の気持ちを忘れない。
そして 未知の生物とコンタクトを取った
あの日のことを。




華を咲かそう