その7) 虫
子供のころ 虫に限ったことではないが
小動物に夢中になった。
まず だんご虫。
小学校1年か2年のときには 常にズボンのポケットに入れていた。
いくつか収集場所があり そこで登下校時 常に補給を怠らなかった。
授業中 机の上に出して 鉛筆でつついて遊んだり
鉛筆を立てて ボウリングしてみたり
鼻の穴に入れて 飛ばしてギネス記録に挑戦したり
パチンコで飛ばしてみたり
隣の女子のカンペンに暇だったら遊ぶといいよと 入れてみたり
友人のランドセルに入れてみたり
給食当番のときに 隠し味と食欲増進のためにシチューに入れてみたり
BB弾の代わりに 銃に詰めてみたり
校庭に並べて SOSを作ってヘリを呼ぼうとしたり
下校時 下駄箱で皆の上履きに御裾分けで配布したり
実に用途は様々であった。
一つ確実に言えることは
だんご虫には沢山の愛が込められている。
なにしろ つつくと まるまる。
もうそれだけで 俺のハートをガッチリキャッチ。
他のオモチャなど いらなかった。
しかし このだんご虫大好きっ子にも
年貢の納め時がやってきた。
おかんが洗濯した際に 俺のズボンのポケットの
だんご虫全部が 洗濯機に浮いて グルグル回っていた。
おかんに正座させられて 説教をくらったことは言うまでもない。
以後 だんご虫を ポケットに入れる癖はなくなった。
次に ザリガニ。
ザリガニは 登下校時 発見しようものなら
なにしろ 入れ物がないので
ランドセルの中身を全部 そこに捨てて
ランドセルに入れたものだ。
ゆえに おかんに何度 正座させられたかは覚えていない。
友人の家の 熱帯魚の水槽に入れたこともあった。
ザリガニは綺麗に熱帯魚をたいらげていた。
熱帯魚は友人のおかんがかわいがっており
友人のおかんにも 正座されられたことは
言うまでもない。
そして勿論 全部 友人のせいにしたことも
言うまでもない。
なにしろ つつくと 両腕のハサミをあげる。
もうこれだけで 俺のハートをガッチリキャッチ。
他に オモチャなんて いらなかった。
夏祭りの時に採った 600匹のザリガニは今でも目に焼付いている。
共食いのなんとも激しかったこと・・。
あの臭いもいまだに鼻についています。
そして 我らがカブト虫
友人とクワガタ派と別れたが 俺はカブト虫派であった。
うちの畑にある腐葉土の山の中に 毎年 カブト虫が
卵を産むため 腐葉土を掻き分けると
沢山の幼虫がいとも簡単に手に入ったものだ。
それを育てて 成虫になったときは 本当に嬉しい。
しかし 成虫になるのが 待ちきれず
毎朝 カブト虫の入った 虫箱の腐葉土を掘り起こすわけだが
その際 強く掘り起こしてしまい 何度サナギを死なせてしまったことか。
角の部分が折れてしまい なんか白いオツユが出てくる・・。
アロンアルファで応急処置していたが
大抵 死なせてしまった。
庭にいくつ カブト虫のお墓を作ったかは 覚えていない。
墓標は決まって ガリガリ君の棒であった。
成虫(♂)同士の角相撲が大好きであった。
次に コオロギ。
友人とよくピョコピョコ飛ばせて競争させた。
そのため 100匹近いコオロギを飼っていた。
おかんに怒られるので 表向きは虫かごに
可愛く3匹くらい飼っている事にしてあったのだが
軒下のダンボールの中で他は飼っていた。
とある晩に 部屋でどいつが一番元気があって速いのか
競争させて見ることにした。
とりあえず 競争させる前に くつろいでもらおうってことで
部屋に一気に全部離してみたわけなんだが
ええ・・ 修羅場になりましたね・・。
おかんに 張り倒されたことは言うまでもありません。
コオロギは洋服食うんですね。
残党がかなり残ってしまって
我が家にある衣類を かじりまくってましたね。
これに懲りて 以後 室内で大量に虫を放し飼いにすることは
きっぱり 辞めました。
次に カマキリ。
カマキリに色んな虫を食わせてみたりして遊びましたが
うちは陸米を畑でこしらえており 秋になり収穫の際には
稲についた カマキリの大量の卵が手に入りました。
カマキリは益虫であり 稲を食べにくる虫を
ことごとく食べてくれます。
モコモコしている スポンジ状のカマキリの卵。
そいつを50個くらい持ち帰ったわけです。
本当はこのまま越冬をして 春先温かくなって
孵化するわけです。
それを温かい家に持って帰ると
どうなるかは 皆さんも想像すればわかるでしょう。
勿論 俺の天敵である 母親には内緒です。
大体一個の卵嚢には200個くらいの卵が入っており
まぁ 200匹 ちっこいカマキリがゾロゾロ出てきます。
それを自分の机の中に 50個しまっといたわけなんですが
とある日の晩 眠っていると なんかが体の上を歩き回る。
なんだろなと思って 電気をつけてみると
部屋はプチカマキリだらけ・・。
カマキリパラダイスですね。
子供だった俺は ガリバー旅行記で
ガリバーが小人に縛り付けられるシーンがありますが
その心境になり 怖くなったことを覚えています。
このまま カマキリの子供に食われるのではないかと。
母親を呼びに行きました。
戻ってくると 部屋はさながら カマキリの絨毯を引いたような
有様でした。
殺すのも忍びないので ほうきで掃いて
外に逃がしたことを覚えています。
次に 蟻地獄。
短命で有名なウスバカゲロウの幼虫です。
日陰の家の軒下なんかに よくありました。
俺がよく見つけたのは神社の境内でした。
蟻を一杯 蟻地獄の巣に落とすわけなんですが
面白くて 蟻を大量に落としすぎて
蟻地獄の巣が 蟻によって型崩れして 破壊される有様でした。
とんぼ
とんぼは網がなくても 取れた。
どこかに止まっているとんぼがいたら
とんぼの目の前で 指をグルグルまわす。
これでとんぼは目が回り動けないので
パシっと羽をつまむだけで取れた。
オニやんまが一番好きで良く取った。
噛まれるとかなり痛かったのを覚えている。
夏の風物詩として
昼寝している弟の足を よく噛ませたものだ。
大抵 弟は飛び起きて 泣いて おかんを呼びに行く。
俺はオニやんまを隠す場所にポケットに入れるのだが
取り出す際に 俺も指を噛まれたものだ。
蜘蛛
女郎蜘蛛を捕まえてよく遊んだものだ。
尻から糸をどんどん出させて 垂らして遊ぶ。
あとは捕まえた虫を巣に 貼り付けたりもした。
巣をどうやって張るのか 7〜8時間近く
ずっと眺めていたこともある。
とかげ
とかげは 捕まえる際 何度も噛まれましたが
なにしろ 尻尾が切れても 生えてくるんですよ 奥さん!!
旦那のも 若く雄雄しいころに再生したらなぁ〜なんて
思ってる主婦の方も多いかと思います。
とにかく この尻尾には 子供心に普通に衝撃を受けました。
後にサメの歯が ドンドン生え変わることも知りました。
歯を磨かなくて 虫歯だらけの俺は
大きくなってお金持ちになったら
歯医者さんにサメの歯にしてもらおう
と 本気で思ってました。
ひきがえる
うちには池があり
そこで オヤジの趣味で鯉やら金魚やら
飼っていたのだが
自転車を運転できるようになったばかりの弟が
何をどう間違ったのか チャリで池へ落ち
次の日 チャリのチェーンの油で
全ての鯉と金魚が浮いていた・・・
なにも住まない その池に
毎年 ヒキガエルが卵を産みにくるんですが
とある日 学校から帰宅すると
例のごとく ヒキガエルが卵を産みにきていた。
そして いつもは♂♀のつがいなのだが
今日はなんか3匹いるぞ・・・
♀の上に ♂が乗り さらにもう一匹♂が・・。
なんだ この愛憎劇は??
♂→♂→♀
内訳は
兄者→舎弟→愛人?!
いつもしている遊びがあったのだが
その日も俺はそれをやった。
棒でつついて ♂と♀を引き離すのだ。
♂はそのとき 慌てて泳いで
再び♀の上に乗る。
わくわくしながら つつくと
♂2匹が慌てて ♀1匹目指して泳ぎ出す。
2匹とも1匹の♀をめぐって 必死である。
それが面白くて 何度も何度もつついて遊んだ。
結局 ♀は卵を産み落とすわけだが
我が家では おたまじゃくしが増えてはならないので
卵は網で掬って 地面に埋めていた。
俺はむしろ 繁殖させたかった。
なぜなら おたまじゃくしは
ザリガニのいい餌になるからだ。
んなわけで 俺がその役を頼まれた際は
近くの川まで 卵を捨てに行ったものだ。
子供ゆえに残酷であったと思います。
まず 単純に動くものに興味を持ち
それをいじる。
そのときその物は 確かにおもちゃ的な認識で
いじっていたと思います。
しかし こんな経験を沢山して
小さな虫も愛でる(その一生懸命生きている様に)
そんな気持ちが芽生えたような気がします。
華を咲かそう
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