その10) アルコール
18歳の頃だったろうか
俺は基本的にビール党なのだが
花見でウィスキーを初めて飲んだのだ。
最初はビールで乾杯!!
ひたすら一気飲みのコールが飛び交う。
サンダーバード
ドラエもん
鬼太郎
デビルマン
ミッキーマウス
などなどの主題歌の替歌が主であった。
そして ウェーブ一気。
「波がきたぞぉおおい!!」
「飲まれるなよぉおおお!!」
「おおぉおおおおい!!」
この後 俺は超デカイ波に
まんまと飲まれるわけなのだが
このときはそんなことは知らない。
皆グビグビ飲み干し
次々と順番が回っていく。
飲み方っつうもんを まったく知らない俺は
何も考えずにウィスキー1リットルのボトルを
一気飲みした。
異様なまでに喉が熱かったことを覚えている。
そして 友人とふざけて
好きな体位はなんだ?
っつう話題で盛り上がり
終いには その体位をお互いに絡み合って
実際にやってみるなんつうことをやっていて
いつの間にかギャラリーが集まってきていたため
調子に乗って シャチホコ なんかをお披露目していたわけなんだが
そんなことをしていたばっかりに酒の回りも早くなり
気がついたときには 俺は
身動きできないところまで 酔いが回ってしまった。
ほぼ 急性アルコール中毒 であり
体が動かない。
ずっと 遠い目をしていたのだが
徐々に意識が薄れていく・・・。
これは救急車呼んでもらわないとダメかも・・・。
友人を呼ぼうとするのだが
もはや意識は混濁していて声にならない・・。
ダメだ このままだと死ぬ・・・。
こうして俺は意識を失った・・。
目が覚めると例のごとくゲロまみれであった・・。
頭が死にそうに痛い・・。
気分が悪くて起き上がれなかった・・。
乱雑に飲み散らかした酒のビンやカンが見える。
どうやら日は昇り 朝になってしまったようだ。
とりあえず 自分が敷物の上にゲロまみれになって
横たわっているのが分かった。
ううう・・。
意識は回復したのだが
体の感覚が鈍く起き上がれなくて横になっていた。
どれぐらい立っただろう。
俺は再び意識を取り戻し
今度は起き上がってみた。
そこにはもはや誰もいなかった。(泣
友人に肩を借りたかったのだが
誰もいない・・。
どこへ行っちまったんだ??
立ち上がると嗚咽がし
俺はまた吐いた・・。
食い物はもはや出なくて
真黄色な胃液が出た・・。
鼻に胃液が入り
ひどく酸っぱい・・。
うう 喉が渇く・・。
水道までよたよた歩き
蛇口にかぶりついて 水をしこたま
体内に流し込む。
近くのベンチにへたりこんだ。
横になり 再び眠りについた。
昼過ぎぐらいに目が覚めて
さぁ 帰るかなと思い
最寄の駅に向かって歩いた。
途中胃液をまた吐いた。
ううぅ・・。
頭痛が激しく 足取りが重い。
そして駅の改札で財布を出すと
あら ビックリ!!
一銭も入っていないではないか!!
コンドームしか
入ってねぇよ!!
俺の金で楽しそうに酒を飲んでいる
友人達の顔が頭に浮かんだ・・。
こうして俺はかろうじて持っていたテレホンカードで
自宅に電話を入れた。
「もしもし おかん?
気分が悪いんだが迎えにきてくれへん?」
「何言ってんのよ〜〜
あんた行き先も告げずに
家にも帰らずどこほっつき歩いてたの!!」
「あ、あの〜〜 酒飲みすぎて気分悪いんだけど・・」
「知らないわよ そんなこと!!
自分でやったことでしょう??
最後まで自分でケツ拭きなさい!!」
俺本当にこの人の子なんだろうか??(泣
しかし おかんの言うことはもっともであり
道楽息子であった俺は自分の不始末でこうなったのだから
しゃぁないと思い
フラフラしつつも家に向かって歩いた。
やっと家に辿り着いたとき
大げさかもしれないが
生きて帰れたことが無性に嬉しかったのを覚えている。
疲れてヘトヘトだったのだが
俺はトイレで再び吐いた。
なんだ これ・・!!
また黄色い胃液だと思っていたのだが
それは真っ赤な液体であった・・。
吐血??
口から初潮きちゃった??
俺やばいんじゃないの??
まだ死にたくねぇ〜〜〜。
顔を近づけてよく見てみると
なんか赤いツブツブが沢山混入している・・。
俺なんかの果肉入りジュースでも飲んだっけか??
どうやら胃の粘膜がはがれてしまったようだ。
俺はとにかく疲労困憊で 床についた。
夜に目が覚めた。
まだ頭痛が取れないので
居間に行って胃薬と頭痛薬を飲んだ。
その後 友人に電話を入れた。
「お前らさぁ 俺の金で飲んでただろ!!」
「は?お前自分でコンビニ行って
酒しこたま買って
たらふく煽ってたじゃねぇかよ。」
え?そんなの記憶にない・・。
酒で酔っ払って記憶を失う。
俺にはまだそんな経験がなかったため
記憶が飛ぶなんてこと自体 うさんくさく
酔っ払いが適当に自分の都合がいいように
そんなことを言っているんだろうなぁ
と 思っていたのだが
記憶を失うのは事実であった。
俺的には すぐ意識を失い
それ以後 記憶がない。
友人いわく
テキヤのあんちゃんに俺が喧嘩を売ったらしく
必死で止めたそうな・・。
俺がボコボコにされるのは 目に見えていたからだ。
そんな記憶も俺にはない。
そしてそのあとは昏睡して 高イビキを
かいていたそうな・・・。
高イビキは非常に危険な状態であり
脳に障害がある人がかくいびきである。
急性アルコール中毒もひどくなると
そのまま 脳がやられて
呼吸も麻痺してEND。
もしゲロを吐いていなかったらと思うと
ゾッとする。
「おいおい 救急車呼んでくれよ〜〜〜。」
「いあ 皆 泥酔しててよぉ
誰一人として他人の面倒みる余裕なんて
なかったんだよ。」
うお まじかい!!
このとき俺達は初めて学んだ。
全員ぶっつぶれるようなことがあっては
ならないことを・・・。
でないと この先 俺達は死ぬ・・。
そんなことをお互いに肝に銘じ
受話器を置いた。
しかし 学習能力のない男達は
この後 急性アルコール中毒者が3名出て
3回救急車を呼ぶことになるのであった。
急性アル中で入院した友人いわく
なんでも 気付いたら病院で
ちんぽに管をぶっ刺されていたそうだ。
そしてそれは抜くとき
とっても痛いそうだ。
そんなことを聞いたため
俺はその後 無茶な飲み方は
しないようにしている。
華を咲かそう