その4) 魔法の財布
高校の時に買った 手縫いの財布。
当時 3万円ちょっとで購入したのだが
未だに 使っている。
なんと この財布
5回落としたにも かかわらず
全て 俺の手元に戻ってきた。
遊園地
ピザの配達中
原付で下校中
清掃バイトの帰宅途中
学校の喫煙所
一回目は遊園地。
遊園地でジェットコースターに乗った際
財布が右のケツのポケットにないことが判明。
座席にはなかったため
係員にそのことを告げた。
ジェットコースターは一時運行中止となり
俺と係員でコースに入って
ループの真下など くまなく探したのだが
見つからない。
確かにここでなんですよね?
他の乗り物でなくなったんじゃなく?
はい 間違いないです。
(これが嘘を言っている目に見えますか!!)
そして 2〜3回周ったのだが
結局見つからず
とりあえず 事務所に行って
紛失届けを提出した。
そして ベンチに座り
今月はどうやって生活していこう・・・
と 途方に暮れていると
園内放送があり
お呼び出しとなった。
おお あったのかも!!
歓喜と共に 事務所に走った。
どこで発見されたのか訊ねると
なんと ジェットコースターの
大分 前に乗った
魔法の絨毯・・・。
俺はジェットコースターの係員に
済まなかったと 謝りに行った。
係員は笑って許してくれたが
人間の記憶はいい加減で曖昧だなぁ
と 我ながら思った。
もう 落とさないようにしないとな
と 思ったのだが・・。
2回目はピザの配達中であった。
この日 俺は勤務時間終了間際
今日のあがりを ウェストポーチから
全て落とすという アホなことをやった。
7万円↑だったかと思う。
最後に行った客先へ戻り
そこいらを歩き回って探した。
客は知らないと言っていたが
そこはアパートであるため
他の住民が拾っているかもしれない。
そう思い 住民全部にも当たろうとした
その時 ドアから一人の住民が出てきた。
出掛けられては もう聞くこともできないと
真っ先に訊ねた。
すると 彼は
これですか??
と あがりの入った 店の財布を出してきた。
おお それですよ!!
俺は感謝し それを受け取った。
彼はこれから届けにいこうかと思ってたんですよ
と 言っていたが
もう その日は夜11時近くであり
この付近に交番はないため
本当かなぁ??と疑ってしまった。
なにしろ 彼の服装
交番に行くというよりは
むしろ パチンコで勝ったから
友人と飲みに行くというような
服装であった。(危
しかし 彼は正直に渡してくれたのだ
俺は疑うことを辞めて 感謝した。
そうして 店に帰り
あがりを発見したことを報告。
これで 俺のバイト代一月分が おじゃんになることは
なくなったな と ホッとして
あがりを清算し 店に報告し
店をあとにした。
店付近に止めてある 自分の原付に乗ろうとしたとき
あることに気がついた・・・。
俺のケツの右ポケットに
あるはずの財布がない!!
今日の俺はなにやってんだ!!
と 悲しくなり しばらくその場に沈み込んだ。
その日は30件近く回ったため
どこで 落としたかもさっぱりであり
勤務後 30件行った場所を思い出し
グルグル周った。
結局見つからず 自宅へ帰った。
すると おかんから 懐かしい
中学のサッカー部の同期から
突然電話があった報告を受けた。
今は旧友と話して喜んでる場合じゃないと
思ったんだが とりあえず
何事かと思い電話した。
財布に写真つきの免許証が入っていたのが幸いした。
なんと その友人の母親が
犬の散歩中に 俺の財布を発見したのだ。
家に持ち帰ったところ
友人が 中身を見たら
見たことある奴の顔写真と ご対面となったわけだ。
それでわざわざ電話してくれたのだった。
俺は急いでそれを 受け取りにいき
友人のおかんにお礼をいい 自宅へ帰った。
2度あることは3度ある・・。
気をつけなきゃな・・。
そして 学習能力 0 の男 は また 落としたのである・・。
まぁ 前世 鶏だから あんま気にしてないんだがな・・。
3回目は 専門学校から 原付で帰宅中。
途中で気付き引き返したが 見当たらなかったため
最寄の交番に紛失届けを出した。
クレジットカードも念のため停止した。
免許も一緒に入っていたがために
俺はわざわざ 再発行をしに
府中の試験場まで赴いた。
財布にどうして君は免許を入れたんだい??
落とす人はみんなそうなんだよねぇ まったく
などと 延々と説教をされ
ようやく 再発行となった。
しかし 俺は前に免許が入っていたために
財布が届くことを体験しており
すぐ 身元がわかるために
その後も財布に免許は入れっぱなしである。
悪用されることも懸念されるが
そのときはそのときである。
そしてその日。
再発行を終えて 帰宅すると
ポストになにか郵便物が入っていた。
財布が発見されたと 八王子警察からの
通知であった。
なんて 最悪のタイミングなんだ・・。
今朝届けば再発行なんぞしに いかなかったのに・・。
こうして 無事財布を受領し
古い免許を 警察に渡し
警察署をあとにした。
拾ってくれた人の記録を見せてもらい
菓子折りを持って お礼をしに行くことにした。
名前は女性であり
職業は学生であり
住所を見ると アパートであり
一人暮らしが予想される。
これは 神様がくれたチャンスなのか??
しかも ラストチャンスか??
打ってやろうじゃないの!!
逆転満塁弾!!
内心 めっちゃかわいい娘だったら
どうしよう
と ドキドキしていた。
初対面なのに あがりこんで 一緒に菓子を食う。
そんな シチュエーションなんてのは ありだろうか??
いやぁ いわゆる一つの
全然ありでしょうね ん〜〜
(長島調)
と 自分を納得させていた。
「財布の件 ありがとうございました。」(好青年風
「こんなにお菓子を頂いても 一人じゃ食べられないわ。
良かったら お茶でもご一緒にいかがです?」
「いえいえ 一人暮らしの女性の家に
あがりこむなんぞ もってのほかです。」(紳士風
「まぁ そういわずに どうぞ。」
「いえいえ そういうわけには いきません。」(いたって紳士
「どうぞ 散らかってませんから 構いませんよ。」(笑
「いえいえ 癖になりますから。」(どこまでも紳士
「あがっていってくださいな。」
「そうですか? それじゃ ちょっとだけ
ちょっとだけ ちょぉっとだけ
お言葉に甘えて 失礼します。」
(紳士終了〜〜!!
そして 部屋に侵入成功。(ワクワクドキドキ
「あら しっかり片付いていて 女性らしい
お住まいですね。」(渡辺篤史風
長くなりそうなので 途中略・・。
「しかし 女性の一人暮らしなんて無用心です!!
田舎のご両親もきっと心配されてることでしょう。
彼氏なんぞ作って 同棲したほうが安全です!!」
(狼男変身5秒前
「よって 僕があなたを守ります!!」(プロポーズ
きゃ 言っちゃった・・。
「まぁ 会ったばかりなのに 大胆なお方!!」(ぽっ
あら まんざらでもなくね??
いい加減長いので 以下省略・・・。
を 想像しながら ドアの前に立ち
インターホンのボタンを押した。
冷静に考えると田舎の両親が一番心配しているのは
男関係なんだろうが そんなことは置いておいて
美人だったら 迷わずアタックする気 満々であった。
ピンポ〜〜〜ン。
ピンポ〜〜〜ン。
2回ほど 鳴らすと
中からわりと
小柄な かわいめの娘が出てきた。
おっ!!
これはGOサインかな??
なんて 思っていて
悲しきピザ屋の習慣が染み付いていたため
思わず
お待たせしました ピザ屋○○店です!!
と 条件反射でいいそうになった。
財布の件について 話しをし
お礼を述べた。
なんでも 俺の財布は車道の真ん中で
車に一生懸命踏まれていたそうである。
財布まで 俺のような
人生送らないでもいいだろ・・・
と 目頭が熱くなった。
すると 中から他の女性の声が。
お 友達連れかぁ
3人で幸せに暮らすのも悪くないなぁ
ふむふむ。
これも GOGOかな?
と 自前のスカウター(色眼鏡)を
急いで装着。(フフフ
すると その娘がやってきた。
「・・・?!・・・」
思わず 四股名と 何部屋出身なのか
尋ねたくなるような ないすばでぃであった・・・。
俺のスカウターはその計り知れない戦闘力のため
音もなく壊れた・・・。
これ明らかにガードマンいらないね・・・
そう思い 俺は部屋に入ることなく
玄関先で用事を済ませて 帰宅した。
もう 落とさないだろ・・。
しかし 俺は期待を裏切らない男だ!!
あっけなく また落とした・・。
4回目は 夜間の清掃バイト後
車で帰宅したときであった。
家に着き 家の鍵をポッケから出し
入ろうと思ったのだが
でたぁ〜〜 また ねぇぞ!!
いつものケツの右ポケットに
例のぬくもりがなかった。
こうして 俺は今日の現場へ引き返すのかよ!!
と 地団駄踏んで悔しさを かみ殺した。
もう夜中の3時過ぎだし
とっとと 睡眠したかったからだ。
そんなわけで とりあえず
自宅付近を捜すことにした。
そして 落とすなら車の乗降時だろうな
と 思い 車の周りを調べた。
ないなぁ・・。
家と車庫の間の道を探す。
う〜ん・・。
結局 見つからなかったのだが
バイトの友人が拾ってくれていた。
友人はすぐ連絡しようとしたのだが
俺は携帯電話を持っていないし
俺の家族はすでに眠っていると判断したため
夜中に自宅の電話には
かけれなかったと 言っていた。
さすがに もう落とさないよなぁ・・。
しかし 俺は最後までやり遂げる男である。
5回目は 大学の喫煙所。
授業中気付いて
急いで取りに行った。
財布はそこには もうなかった。
事務室に行っても届いていない。
結局 これも知合いが拾ってくれていて
助けられた。
とにかく ポロポロ落としたもんだ。
その度にハラハラしたり
諦めたりもした。
しかし 俺の財布は人々の善意により
帰ってきたのだ。
この経験以来
俺は財布や落し物を拾った際
必ず 届けるようにしている。
もう大分 縫い目が避けたりと
ボロボロになってきてしまったが
俺はこの財布が好きで今も使っている。
華を咲かそう