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<1> 盆休みに 久しぶりに実家へ向かうために 車を走らせている。 余り車の運転は好きじゃないし 何しろ クーラーという代物も好きではない。 どうも上手に汗をかけなくなり 気分が悪くなる。 窓を全開にして、車を走らすほうが まだましだ。 しかし、生憎の渋滞で 車も思うように進まないので 窓から入る温い風すら 望むことはできなかった。 まだまだ残暑も厳しく、今日も炎暑になるであろうことを ラジオのDJが愚痴っぽくこぼしている。 イライラを抑え切れず クラクションこそ鳴らしはしないが ハンドルをトントントントン小突いていた。 助手席に座る里佳が クーラーをかけるように懇願してくる。 クーラーなんか使えば 余計 地球上の外気が上がって 益々暑くなって悪循環なんだよ と諭すが そんなことには 全く耳を貸さずに クーラーを全開にして窓を全閉し始める。 僕は諦めがちに 首を傾げて肩を上下させた。 クーラーを余り強くすると 後ろで寝ている 里子が風邪を引くぞ。 里佳は用意してあったブランケットを後部座席にいる 里子にかけていた。 チャイルドシートに縛り付けられるように 首をもたげていて 寝苦しそうだ。 里佳も冷え性の癖に クーラーが好きなんだから 僕には理解できないな。 クーラーをガンガンにかけた部屋で 鍋を突付いたり、冬にコタツに入ってアイスを食べるのが好きだって 人が世の中にはいるらしいが それと同じくらい 僕には理解できない。 自然の摂理に反しているようで 僕は納得が行かない。 前方の車が少しずつ動き出した。 i-podの音楽を ブルーハーツに変えてくれと 里佳に頼んだのに 車内に流れているのは 彼女の大好きなミスチルだ。 おいおい ちょっとは運転者の要望も 聞き入れてくれよ と僕は嘆いてみせた。 里佳はこちらへ微笑みかけた後に 舌をペロっと出して ベーをして見せた。 ときたま 何でこんな女と結婚しちまったんだと思うし 逆に この女と結婚できて良かったと思うときもある。 結婚生活なんて そんな気持ちの 堂々巡りなのかも知れない。 だからと言って 彼女以外の女と遊ぶ気もないし 特別不満もないので別れる気もない。 むしろ 気心が知れているので 一緒にいて物凄く気が楽だし いざってときには 僕の一番の理解者であることは自負している。 毎年この時期は田舎の仲間と会うことにしている。 大事な友人の墓参りも兼ねて・・・。 彼が生きていたら どんな人間に成長していたんだろうと 時々思いを巡らすことがある。 もう30回目の夏を迎えるわけだが 遠い遠い夏の日が 昨日のことのように蘇ってくる・・・。 >NEXT |