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ハックルベリー・フェロウズ(Huckleberry Fellows)






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けやきの木の上にある
作りかけの基地に移動。



ハックルベリーの小屋と
僕達は名前をつけた。



ハックルベリーに会いたい。
いつか会えるだろうか。


彼は 僕らの憧れである。
いや もはや僕達にとっては神様かも知れない。


図書館で何度も
マーク・トゥーエン原作の
トム・ソーヤやハックルベリーフィンの本を借りて読んだ。


僕達は 親やその他の大人の力を借りずに
彼らのように いつか冒険に出たいと思っている。



木の上の小屋は
大工の倅の双子から
ベニヤや角材などの資材をもらって
僕達だけで作っている小屋だ。


ところどころ 打ち付けに失敗した釘が飛び出していて
知らない人間が入ると どこに釘が出ているかわからないので危ない。


知っている僕らでさえも
ぼさっとしていると 怪我するくらいだ。


今日はその危ない釘をハンマーで
叩いて打ち込む作業をした。


大地は器用にハンマーを使いこなすが
僕は 自分の手を何回も打ち付けてしまい
真っ青な痣だらけだ。


痛いから もうやめようかとも思うけれど
出来上がりが楽しみで やめられない。


途中 もろいベニヤの床を
ハンマーで突き破って
穴が開いてしまったが
小さい穴なので どうにか補強できそうだ。



とりあえず 少年ジャンプで
蓋をしておいた。



ときたま 手を休めて
空を牛耳る ふてぶてしい入道雲を眺める。


今日も夕立が来るのかなぁ。
基地にはブルーシートをかぶせておかないとなぁ。


しかし何で 夏の雲ってのは
あんなに 大きくて偉そうなんだろ?


雷が最近好きではない。
どうもこう威圧的な
父を連想してしまう。



二人とも無言で黙々と作業していたんだが
あっという間に日が暮れた。


そろそろ腹も減ったし
帰ろうかと 僕が切り出すと
大地は不満そうな顔をしていた。


きっと家に帰りたくないんだろう。





実は僕もあまり家には帰りたくない。
父に会いたくないのだ。


最近の父はおかしい。


酒びたりで母や僕に暴力を振るうようになった。


僕は一度だけ母に提案した。

遠くへ三人で逃げようと言った。 三人というのは弟の太児も含めての話だ。


でも母はあんなになってしまった父さんでも
元に戻るのを信じて待ちましょうと言うのだ。


何を信じて待つんだろ??


僕は今の父は大嫌いだ。
でもどうしても憎みきれない部分もあるんだ。
優しかった父の思い出があるから。


一緒にキャッチボールをしたり
釣りやキャンプに行ったりしたし
いつもあの大きな手で僕の頭を撫でてくれた。

夏祭りで肩車をしてくれたことだって覚えてる。
ときどき悪戯をして 怒られることはあったけど
決して人を殴るような人じゃなかった。


それが今はどうだ。
あの大きな手で僕や母さんを殴るんだ。
たまったものではない。


母さんは父さんが恐くないのかな?
僕は恐い。


何か仕事がうまく行っていないとかで
トウサン?とか両親が話しているのを立ち聞きしてしまった。


部屋へ戻って
トウサンの意味が分からなかったので辞書で調べてみた。


父の会社は潰れてしまったのかも知れないと知って
少し青くなった。


父はカメラの部品を作る工場の
社長をしている。


詳しい経緯は知らないが
それが うまく行っていないがために
酒を良く飲んだり 暴れるようになってしまった。


大人の事情なんて 僕はあまり良く分からないけど
大人の事情だと言って 子供を殴っていい理由にはならない
と 僕は思っている。


そもそも大人の事情って何だ。
子供にだって 子供の事情があるんだ。


そして あれだけ優しかった父が
豹変してしまったことへの恐怖もあるのだ。



雨が降るかも知れないし
朝露もあるので 基地にブルーシートをかぶせて
二人とも黙って頷いて
しぶしぶ 家路へと向かうことにした。


小学生最後の夏休みも中盤を越えた。
何とか休み中に小屋を完成させたい。


そしたら 新学期からは
ここに皆で住むんだ。




帰り道の途中
明日探検に行かないか?
という話題になった。


僕は大きく2回頷いて大賛成だった。



僕らの町にはいくつもの防空壕がある。
生々しい戦争の跡とも言えるが


僕達には格好の探検場所としか思えない。
もう亡くなってしまったおばあちゃんは危ないから絶対に
近づいちゃ行けないと言っていたけれど


もう大地と双子であるロクとゲンの4人でいくつかの
防空壕には探検をしに行っている。


だから それほど危険な場所だとは思っていない。


この夏は この町にある
一番大きな防空壕を探検することに決めていた。


いくつかの防空壕は落盤事故があったようで
基本的に全ての防空壕は
完全に立ち入り禁止になっている。


近々埋めてしまうなんて噂もあって
もうこの夏しか 探検する機会はないなと
大地と話し合っていた場所だ。




よし 明日は朝早く集合な。
一応 立ち入り禁止の場所だしさ
大人たちに見つかると面倒だからな。


ロクとゲンも呼ぶか?

彼らは この町内で有名な双子で
大工の倅だ。


基地の資材のほとんどは
彼らから供給してもらっている。


じゃぁ 朝6時に 熊野神社で。


なんだかんだで 祖父の形見の
スケルトンの懐中時計は夜8時を回っていた。


大地は帰りにロクとゲンのところへ
明日のことを知らせに寄ると言って
家とはちょっと違う方角へ別れて行った。


『暗いから気をつけて。』


『あぁ ここいらは庭みてーなもんだ 目を閉じてたって平気さ。』





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