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<21> 更なる嵐がやってきたのは そのわずか3日後の夜だった。 玄関先の水槽で 金魚に餌をやっていると 母がロクから電話だという。 僕は受話器を持ったまま 呆然と立ち尽くした。 受話器を手から滑らすと その場にズルリと腰を落とした。 こみ上げる 悲しみ 怒り。 結局 僕は大地に最後まで何もしてやれなかった・・・。 駄々をこねる子供のように 力なく何度も何度も 廊下の床を叩き付けた。 電話を取り次いだ母が どうしたの?と僕に尋ねて来たが しばしの放心状態で何も返答できなかった。 止め処もなく溢れ出す涙で 前が見えなくなった。 僕は・・。 僕は・・・。 悔しくて悔しくて堪らない・・・。 こんなとき 悲しみを怒りを どこにぶつけたらいいんだ!! ブラブラ垂れ下がる 黒電話の受話器から 電話をくれたロクの もしもし もしもしという声が 虚しく響いていた。 母も電話の内容を察したのか 僕の傍にティッシュの箱だけ置いて立ち去った。 ティッシュで涙や鼻水を拭って おもむろに深呼吸したあと 僕は受話器を再び取り上げて 涙声でロクと会話し さらに詳しい話を聞いた。 今すぐ病院へ来てくださいと 大地の母からお願いされたそうだ。 僕は急いで着替えて 母に詳しい事情を説明して家を出た。 父の寝室の前を通り過ぎると ガーガーと 飲んだくれたあとの いつもの鼾が聞こえた。 大地は 父親を大事にしろと言ったが 今の僕には出来そうもない。 玄関で靴を履いていると まだ 起きていたのか 太児がおぶさってきた。 おにーちゃーん どこいくの? おでかけー? お目目が真っきゃだよー どったの だいじょうび? 僕は靴を履いて踵を返すと 大地が天国に行ってしまったんだよと と 太児を ギュッと抱きしめた。 ダメだ 溢れ出る涙を どうすることもできない・・・。 おにーちゃん 泣いてるのー? 男の子は泣いちゃダメだって 母ちゃんが いつも僕に言ってたよー。 だから おにーちゃんも泣かないで。 僕は号泣して 鼻をすすりながら そうだな 太児 お前の言うとおりだ 兄ちゃんも しっかりしなきゃな だから もう寝なさいと 頭をよしよしと優しく撫でた。 太児も ヨチヨチするーと 背伸びをして 僕の頭を撫でようとしたが 背が足りず 僕の胸元を撫で回した。 僕は泣きながらも 愛らしい弟を見て 思わず笑みがこぼれて わざと頭を撫でさせてやった。 母が玄関先まで出てきて 太児を抱き上げると 気をつけて行って来なさいねと言った。 僕は真っ赤な目と鼻をこすりながら コクリと頷いた。 >NEXT <BACK |