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ハックルベリー・フェロウズ(Huckleberry Fellows)






<19>





次の日は朝早く起きて
皆で里佳を見送るつもりだったのだが
少々 寝坊してしまった。


飛び起きて 慌てて里佳に渡したい物があったので
パジャマのポケットに詰め込むと
サンダルを履いて表へ飛び出した。



双子と里佳が別れと再会を誓う握手をしているところだった。



その他にも里佳が親しくしていた
女友達が数名 見送りに来ていた。


里佳もゲンもロクも例のTシャツを着ていたが
僕だけ パジャマのまんまだったので
皆 笑っていた。


困った お寝坊さんね
と 里佳は腰に手を当てて
トラックの荷台の上から
姉さん気取りで言い放つと
パッとトラックから飛び降りた。


双子と 他のクラスメイト達は早朝からやって来て
荷物の積み込みから何から色々手伝ったらしい。


僕はそれを知って益々言い返す言葉もなく
恥ずかしそうに寝癖でボサボサの頭をポリポリとかいてみせた。


ゲンが こいつも連れてっちゃえよと
ふざけて僕の首根っこを掴む。


空気抜いて畳めば
そのダンボールに入るんじゃないのか
と めったに冗談を言わないロクまで
そんなことを言い出した。


皆 辛い別れにはしたくないんだろう。


里佳 そろそろ行くぞ
皆 手伝ってくれてありがとうな
と 里佳の父が手短に挨拶をしてきた。


これ 皆で食べてねと
里佳の母親が僕達にお菓子をくれた。


残念ながら 大地はここには来れなかったが
里佳によろしくと言っていたことを伝えた。


里佳は早くも半泣きだったが
泣き出さないように 堪えているように見えた。


うちの母も太児の手を引いて表へ出てきて
里佳の母親へ何か餞別を渡していた。


包みからして 保存の利く
高級な食材か何かだろうか。


お姉ちゃん バイバーイと
太児が言うと 里佳は
太児ちゃん ありがとうねと
弟を抱き上げて 名残惜しそうに頬すりしていた。




トラックに乗り込む里佳の一家を
皆で見届けた。


手紙書くからね
と 皆が口々に トラックの窓から顔を出している里佳に話しかけると
涙を堪えていた里佳が遂に泣き出した。


それじゃ 行きますね
と 里佳の父親が言うと
皆が手を振る中
トラックが走り出した。


僕は里佳に渡さなきゃいけない物があったことを
思い出して 慌てて
パジャマの上着を脱ぐと
それを大きく振り回しながら
トラックを追いかけた。


おーい 止まってくれー。
ごめん 忘れ物だぁあああ!!



大地のお守りであるタグが
激しく首下でカシャンカシャン上下に
千切れそうなくらいに揺れる。


そして その激しいタグの揺れは
まるで 大地がここに来ていて
激しく胸躍らせているようだった。


大地は見送りにはこれなかったが
一緒にここにいるんだなと思った。


500mくらい走ると
バックミラーで様子を見ていた里佳の父が
トラックを止めてくれた。


息を切らしながら
里佳の両親に一礼すると
僕は ある物を里佳の手に握らせた。


里佳は手の平を開いて
その物体に目に留めると それが何なのかすぐに理解したようで
大きく頷いて見せた。


僕は ゼェゼェしながら
ニッコリ微笑み返した。


それじゃ 健児君 元気でな
と 里佳の父親が言うと
再びトラックは走り出した。


僕はトラックが見えなくなるまで
手を振る代わりにパジャマの上着を振り回していた。


後ろから ゲンとロクも
僕らの幟を振り回して追いかけてきた。


3人でトラックが見えなくなるまで
僕はパジャマの上着 双子は幟を力一杯振り回した。


里佳も最後まで窓から身を乗り出して
大きく大きく手を振っていた。




その後 ゲンとロクが
僕に対し 里佳に何を渡したのか尋ねてきたので
答えてやった。


大地のヒマワリの種さ。
植えて育てて欲しいという意味で渡した。


せめて大地が一緒にいれば
いつだって寂しくはないだろ?
僕はそう思う。


2人もそれをスッカリ忘れていたようで
お前は でかしたといった様子で
僕の肩をポンポンと叩いてきた。


さて これからは文通とやらを
やらなきゃいけないなと思うと
文章を書くのが嫌いな僕には
少し荷が重かった。





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