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<6> 次の日は朝のラジオ体操を終えて 学校のプールへ。 そこにも大地の姿はなかった。 ロクとゲンに相談すると もしかしたら 俺たちで作っている 例の秘密基地にいるんじゃないかってことで プールが終わったあと 見に行く約束をした。 すぐに行きたかったんだが 僕は一昨日の晩のことを 里佳に謝りたくて 校門付近を歩いている 里佳を追いかけた。 プールにも普通に来ているし 怪我をした指に包帯を巻いているわけではないが 簡単に絆創膏が貼ってあった。 大した怪我ではなかったんだろうけど 彼女は僕を心配してくれて わざわざ家の前で待っていてくれたんだろうし 冷静に考えたら自分が恥ずかしくなって とにかく 話は聞いてもらえなくとも 謝りたかった。 『おーい 里佳〜。』 彼女は僕を見つけると 足早にその場を去ろうとする。 『ちょっと待ってくれよー。』 なんだか女に頭を下げるために 一生懸命な自分が情けなくなってきたが ここは 我慢だ。 また喧嘩になるのも面倒だしな。 息を切らしながら 校門付近で彼女に追いつき 彼女の前に立ちふさがった。 『そこ どいてくれない?』 里佳は こちらを威嚇し 激しく敵意を剥き出した まるで雌の野獣のような表情で つっけんどんな物言いをする。 僕はゼェゼェと息を切らして 一呼吸置いてから 頭を深々と下げて ごめんなさいをした。 里佳は プイッと顔を背けて 僕の横を通り抜けて行った。 一瞬 惨めでガクッと 地面に膝を付きそうになったが堪えた。 他に下校する生徒達が 一部始終を見ていて クスッと笑っている。 見世物じゃねぇぞと 僕は砂を彼らに向けて蹴り上げた。 その後は恥ずかしくて もう走り去るしかなかった。 里佳もバカじゃないし そのうち許してくれるだろうと 気楽に考えることにした。 空はどこまでも突き抜けるような晴天で また太陽が学校脇に流れる川面をキラキラと照りつけていた。 アスファルトは陽炎を立ち昇らせ 僕の喉に渇きを覚えさせる。 とにかく 木の上の基地まで 一気に走った。 喉が渇いて 引っ付きそうだ。 僕は肩を大きく揺らし 唾を吐きながら 歪んだ表情で 先に基地にいる 双子を遠目から見ていた。 ゆっくり呼吸を整えながら 一歩一歩基地に近づいた。 もう しばらくは走りたくないなぁと思った。 木の下に置いてある 飲料水用の ポリタンクを抱えて 水をガブ飲みした。 ゲンは木の幹に水泳バッグを巻きつけて ボクシングまがいのことをしていた。 ロクは木の枝に腰掛けて 難しそうな大人向けの小説を読んでいた。 あれ?大地は来てないの? ロクは相変わらずこちらへ視線も合わせず コクリと頷いた。 ゲンはそんなことはお構いなしで なぁ?健児 ボクシングしねぇ? 俺 人を本気で殴ったことがねぇんだ と また意味の分からないことを言っている。 いつも彼は本気で人を殴っているように見えるのは 僕の気のせいだろうか。 僕はこの双子のことを嫌いではないんだけれど 相変わらず 自分のペースが乱れるので疲れる。 確かに面白い双子で 世の中にこんな奴らはそうそういないだろうな。 彼らをうまくまとめられるのは やはり大地しかいないと思う。 彼は3人が認める 僕達のリーダーなんだから。 とりあえず 3人で大地の家に行った。 その日も留守だった。 人影が全くなくて 昨日訪れたときと 変わった様子が何もない。 何しろ彼の家は母と子だけなので 二人でどこかへ出かけてしまったのだろうか? 母親の田舎にでも突然帰ってしまったのだろうか? それとも よく出入りしている男達によって 何か事件に巻き込まれてしまったのだろうか? 考えれば考えるほど 不安になり 大地のことが心配になった。 担任の海原先生なら何か知っているかも知れない。 明日のプールが始まる前に職員室へ行って 聞いてみよう。 もうすぐ夏休みは終わりだし 基地を完成させなければならないし それには絶対に大地の力が必要だ。 >NEXT <BACK |